藤本 和彦:昭和26年9月12日生まれ

ボランティア:東京Rockies ヘッドコーチ

7年前、私が所属している会社の野球部にRockiesのメンバーの飯野氏がいて
彼の誘いを受けてボランティアとして参加する事になった。
もう野球は40年以上やっている。地元武蔵小金井の少年野球チーム「アトムズ」の
コーチでもある。野球を教えることは、初めてではなかったが、障害者に野球を教える
事は、もちろん初めてだった。

健常者の指導方法では通じない事は、充分解っていた。
Rockiesに関わって最初の年に、神戸のグリーンスタジアムへ「全国障害者野球大会」を
見に行って、とにかくびっくりした。
義足ではなく、松葉杖のようなものを無くなった片足にテーピングで巻いて試合に出る、
肩から腕がなく、ファーストを守っている。義手なし。どうやってグローブを使うのかと思ったら
ボールをキャッチしてからグローブをあごにはさみ、グローブから自然に落ちてくる玉を片手で掴んで
投げる。
できないんじゃない。どうしたらできるのかを一緒に考えていこう!。

東京に戻り、グランドで指導するのに障害名を本人に聞けない。
簡単なことのようだが、こちらが「壁」を作ってしまう。
踏み込んではいけないような、相手に悪いような。みんな野球がやりたくて来てるのは
わかっているのに・・・。それでは何もはじまらない。
「何ができる?」思い切って聞いてみた。
壁は簡単に取り除く事ができた。聞けばすんなり答えてくれる。
こんなヘッドコーチの苦悩は、代表:石崎氏との確固たる信頼関係により前向きにひとつづつ
解決して行った。


障害と一口に言っても、手・足・全身障害など部分の問題と、部分がどう機能するのか
という個人差という問題と、心の問題などがある。
実際、1年間もの間、誰とも口をきかずにいた子がはじめて喋ってくれたのが、
「藤本さん。バットに球があたんないんだけど・・・」だった。
涙が出るほど感激した。
一人一人の個性を把握し、どこに焦点を絞って指導していくか。
また、細部のクセや力量、欠点、長所、チームとしてのポジションは、人間関係は・・・
考え出したらきりが無いほどの問題が山積みだ。
しかし、7年という歳月をかけた、藤本流「障害者向け野球マニュアル」はすでに完全に近いと
感じられる。

自身が現役野球を楽しみ、野球少年を育てる楽しみも知っている。
今までは「勝つ為の野球しか知らなかった」それはそれで、否定しない。
でも、Rockiesの目指す「障害者の楽しむ野球」にこれからも関わっていく。

障害をもっていても、夢を叶えたいという彼らの熱い気持ちに、応えない訳にはいかない。
初めはキャッチボールすらできなかったメンバー達と、一緒に考え、体ごとぶつかって
作り上げて来た東京Rockies。とにかく彼らのやる気は凄かった。

「今後は、世界中に軟式野球を普及させたいと思っている。
軟式ボールは日本にしか存在しないので、アメリカ遠征の時に軟式ボールを持っていった。
このボールで大リーグと同じ野球ができるんだよ!って。彼らはみんなソフトボールだからね。
それで、練習して欲しかったのに・・・。みんな珍しがってお土産で分けちゃったって。
障害者軟式野球世界大会の夢はほど遠いよ・・・。」

文責:jojitown @ひろみ


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